医療現場の最前線で働く【看護師】からの報告~コロナ対策ニーズソン 3~
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医療現場の最前線で働く【看護師】からの報告~コロナ対策ニーズソン 3~

私は市中病院で働く看護師です。

当院は2次救急医療機関であり、救急の専門医も常駐していません。感染症の指定医療機関でもなく、感染症の専門医もいません。しかし行政からは、コロナも受け入れる、救急も受け入れる、と要請されています。さらに行政からの要請で、コロナ専門外来も開設しています。
平時の救急、コロナにも最大限対応していることになります。

私の実践の場は、コロナ陽性患者さんの入院病棟、コロナ専門外来、救急外来も3つです。それぞれの場で起きていることをお伝えします。

医療者が感じている「怖さ」

看護師は患者さんに一番近いところで接しているので、その怖さを2つに分けてお伝えします。

まず、陽性患者さんや限りなく陽性に近い患者さんと接する時、看護師も感染症に対する知識がエキスパート並みではなく、自分たちも勉強しながら看護を提供している状況です。PPEが潤沢であれば「自分たちは守られている」という実感を持てますが、今着けているPPEも明日あるかが分からない状態。限りなく陽性に近い方や陽性患者さんに対して身に着けたものは、そこで破棄をしないと他の患者さんに感染させるかもしれませんので、「破棄するときの罪悪感」もあります。

そして自分たちがPPEで守られていないときに、自分がウイルスを運んでしまうのではないかという恐怖。家族に感染してしまうのではないか、街行く人たちに感染してしまうのではないか、そして院内の他の患者さんに感染してしまうのではないか、という恐怖をいつも抱えています。

そして何よりも「ウイルス」の怖いところは、目に見えないことです。汚れのようには見えませんので、PPEを着けていてもどこにそれが付いているか分からないのが非常に怖いです。

入院病棟での「困りごと」

次にコロナの入院病棟で困っていることです。
一般の病棟では、「この患者さんが急変しそう」とか「介助が必要」と思えばすぐにベッドサイドへ行くことができます。しかしPPEも節約する、ベッドサイドへ行く時間や回数も限られる状況では、Nsコールの音声で患者さんの状況を探ろうとしたり、患者さんのニーズを捉えようとします。
でも、それでは患者さんの状態が分からない。そこに「見えない患者さんを看護する怖さ」を感じています。特に、高齢者や認知症の方は、部屋に行くしかないわけです。いくらPPEを身に着けていても、自分の状況が分からない患者さんを抱きかかえて介助する怖さがあります。普段なら2~3人で患者さんに関わることができても、PPEの節約を考えると1人で対応しなくてはいけない。
実際濃厚接触者が出てスタッフの人数が減っており、要介護の方がいる時は、いつもよりも神経をすり減らしています。

そして患者さんの状態が悪くなったり、このまま亡くなってしまうのではないかというときも、ご家族が濃厚接触者になるので病院の中に入ることができません。例えば挿管するような状況でも、患者さんとご家族は最後の話が出来ない。「これで良いのか」というもどかしさ、看護師の倫理観が非常にゆさぶられている毎日です。

救急外来での「困りごと」

救急外来の患者さんは、誰がコロナか分からないため、前もってPPEをすべて装着することは「もったいない」からできません。救急車からの情報によるスクリーニングも今はできておらず、今あるPPEだけ対応しようとしています。
手袋などはまだあるのですが、アイシールドは入って来ません。そんな状況で患者さんをみればみるほど疑いたくなってきますが、疑うと個室など他の患者さんと接しないところで対応しないといけない。でもその場所が無い。入院ベッドもコロナ陽性者用にどんどん空けていきますが、疑い患者さんは一般患者さんのいる病棟にも入れにくいので、疑いたいけど疑うと患者さんが入院する場所が無い、というのが現状です。

とにかく、グレーの患者さんの行き場が無い。陽性の患者さんは専門病床なり、行政が用意したホテルにいくことができます。濃厚接触者の方は専用外来に来ることができます。ただ、救急外来ではコロナっぽい、疑い例だけどPCRが確定するまでは行き場が無いんです。PCR陽性なら専門外来へ、陰性なら一般病棟に行けます。ただPCRやはりハードルが高く、今自分の地域では行政しか対応しないので、結果が出るまでに1-2日かかります。疑い例で個室を1~2日埋めてしまい、次の患者さんを入れることができないのがきつい。検査の重要性は白黒をはっきりさせるというよりも、疑い例の患者さんをいかに安全に次の場所にいくかとう点がすごく大事だと感じています。

また救急外来ではトリアージを行うのですが、待合室のすべての患者さんがコロナを不安に思っているので、「自分はコロナじゃないのか」と毎回毎回聞かれ、「あんたたちはマスクをしていてずるい」とか「防護具を着てていいな」といわれることもストレスです。

救急外来での「困りごと」

自分たちはリスクのある患者さんにはPPEで防護していても、後で「あの人は陽性だった」と分かったときに、自分が濃厚接触者になるのではないか、PCR検査で陽性になるのではないかという不安も抱えています。

今は院内感染だけは避けたいという状況もあり、かなりオーバートリアージになっていて、どんどんPCRを検査することになります。その一方で、皆が疑い例になって行くベッドが無いという、現場の混乱が起きてしまっているのです。

医療者の「メンタル」にも気づいてほしい

医療者は濃厚接触者となり、病院機能を低下させてしまうのではないかというところで、感染しないように神経をすり減らしています。そして当院も1カ月半ほど対応していますが、長期化していてメンタルもそろそろ限界です。最初は私たちも「これは災害だ」と、市民の命を救うんだという気持ちがありますが、それも1か月続くとしんどくなってきています。

また、普段ならコロナ以外の人にできることができないもどかしさもあります。
個室での重症患者対応は医療者同士のコミュニケーションも平常ではありません。平常なら重症患者さんにもたくさんのスタッフが指示を出し合いながらコミュニケーションを取れますが、個室の中で重症患者さんを診るのは、入れる医療者の人数も限られるので、医療者同士のコミュニケーションも必然的に減ってくる、これも私たちにとって大きなストレスになっているのです。

Profile
イラスト:大道レイチェル(だいどう れいちぇる)

滋賀県出身。立命館大学文学部卒業後、専門学校でデザインとイラストを学ぶ。現在、滋賀県の印刷会社でグラフィックデザイナーとして入職し、個人でもイラストレーター・漫画家として活動中。また、NPOまもるをまもるの理事として、イラストや広報物の作成、グラフィックレコーディングを行なっている。趣味は英語の勉強とスターウォーズと、さんぽ。

【漫画】リアルな医療現場と、そこにあるバイアスモンスターと戦う作品『ソヴァージュ・モンスター』(原作:大浦イッセイ)の作画を担当しました。以下で読めます!

●第1話 Amazon Kindle (無料)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07FK1YXG9/ref=cm_sw_r_li_awdb_c_7rYtBbQBMB503

●第2話 (リンク先で直に読めます)

https://share.clip-studio.com/ja-jp/contents/view…


文章

岡部美由紀 (おかべ みゆき)

埼玉県出身。看護専門学校後、大宮赤十字病院(現 さいたま赤十字病院)に入職し、中央手術室に勤務。その後クリニック勤務を経て、なぜかIT技術者へ転身する。出産を機にIT業界に別れを告げ、看護師へ復職(ここでも手術室勤務…)。看護師10年、IT10年を経験し、自分には「何かをつくる」方が向いていると思い立ちライターへ転身、女性ばかりのライティング事業を立ち上げる。2015年から医工連携コーディネーターも兼務。
趣味は、ハンドクラフトとジグソーパズル。再び家族でキャンプに行ける日を待ちわびながら、犬&リクガメ&メダカの世話に追われる2児の母。